理論社

第16回

2020.12.15更新

自分の道を見つけたい! 第16回 G1さん篇4

なるほど〜。野生的に育った少年が、お上品な生徒たちを蹴散らすかのようで、グッとときめいてしまいました。と……、それはちょっとマンガちっくに妄想しすぎかもしれませんが、とはいえ、毎日気性の荒いを乗りこなしていた底力が発揮されるというのは、かっこよくてシビレます。

「こいつは乗れる」というのでレギュラーに抜粋されたG1さん。なんと1年生からインターハイにも出場して活躍したそうですが、部活動自体は順風満帆とはいかなかったようです。

G1さん G1さん
馬術部はヤロウばっかりの体育会系だったんですが、ぼくは体育会系的な縦社会がすごく嫌で馴染めなくて、態度が悪かったんで、先輩に目をつけられてぶん殴られたりしてました。
例えば、部活が終わったら、先輩が着替えて出て来るのを待って、自転車で一緒に帰らないといけない、という謎の決まりがあったんですけど、そういう意味のない伝統みたいなものに、すごい嫌悪感がありました。
「一緒に変える必要ないやん。意味がわからん」と思うので、ひとりで先に帰ったりしてたんですよ。すると、「あいつはなんだ」ということになって、殴られる。

こういう縦社会的なルールとか、意味のない伝統って、中学校に行ってたら体験したのかもしれないですけど、ハーモニィにはいっさいなかったものに初めて対面した出来事でした。新入部員も、先輩からしごかれて半分くらい辞めていきました。

放任主義で自由だったハーモニィ時代から、今度は鉄拳制裁の体育会系へと、かなり極端な環境の変化です。
中学校入学の時には、ほんの数日で「学校に行かない」と言いだしたG1さんが、それよりもずっと酷い環境で、よく逃げ出さなかったものだなと驚きますが、「1年生から試合に出してもらってたんで、辞めようとは思わなかったですね」とのこと。
やはり「馬に乗りたい」という一心がいつもG1さんを引っぱっていたようです。
それにしても、苦しい後輩時代を、どうやって乗り越えたのでしょうか?

G1さん G1さん
同級生で、同じ馬術部だった友だちがいたから乗り越えられたと思いますね。お互いに(先輩に睨まれて)ストレスも溜まってるから、ケンカになって殴りかかられたりもしたんですけど(笑)、アクは強いけど仲間思いの友人にめぐまれました。

高校のときは、この友人たちが教えてくれて、勉強もけっこうがんばったんですよ。ファミレスで一緒に勉強したりして。
テストで点採らないと試合に出してもらえないから、この時だけは勉強もやりましたね。1年からインターハイのレギュラーに選ばれてましたから、責任も感じてたし、とにかく試合は出たかったんで。

でも、2年のときには、あまりに練習がきつくて勉強に手が回らなかったときがあって、「やばい、試合に出られなくなる!」と焦ってカンニングしたんですよ。するとそれがバレて、インターハイに出られなくなったこともあるんです(笑)
そしたら、カンニングした教科の担当だった先生が、泣いたんですよね。「自分の授業からインターハイに出られなくなるような事態が発生して、申しわけない」と言って。
その先生は、ふだん生徒からあまり授業を聞いてもらえないような感じの先生だったんですけど、その先生が、申しわけないと言って泣いてる姿を見て、
「ああ、本当に悪いことしてしまったな。しょうもない悪いことしたら試合に出られなくなるんだな、一緒に頑張ってきた人たちにも迷惑かけるんだな」と学んで、ちゃんとしないとな、と思うようになりました。
3年のときには、インターハイで準決勝まで行ったんですよ。
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