ふて腐れたり塞ぎ込んだりしても、重い体を引きずるように歩いていても、どうにか懸命に生きている限り、やがて誰の元にも、「それまでの世界の見え方」をぐいっと変えてくれることになる人物が、必ず現れるように、私には思えます。
當山さんは彼女と喧嘩をし、先輩にカミングアウトをしたことで、自分の世界像を反転させたようです。
面白いのは、世界像が反転したといっても、「周囲の環境」が一瞬でがらりと変わったわけではなく、先に変わったのは、あくまでも當山さん自身の意識や心の有りようだということです。
「自分が変われば世界が変わる」という言葉がありますが、自分の見方が変わるだけで、これまで生きていた馴染み深い風景も、まったく違ったものに見えてくることがあるようです。
當山さん
(あっきー)
周りにいる人たちはいい人たちばかりだったのに、なぜ言えなかったんだろう。いつ言っても受け入れてくれるに違いない人ばかりだったじゃん、ってことに気づいたんです。
それなのに、これまでの自分は「カミングアウトしたら大変なことになる」と思い込んでいた。
それなのに、これまでの自分は「カミングアウトしたら大変なことになる」と思い込んでいた。
囚われていた「思い込み」の鎖を断ち切ったことで、不安だらけで怖い場所だと感じていた世界が、本当は無数の可能性に溢れた場所だったということを発見した瞬間とも言えるでしょうか。
この後に當山さんは、タイに渡って性別適合手術を受け、男性として堂々と生きていく道を歩みはじめることになります。
次回は、高畑さんが「自分の道を見つけたとき」についてうかがってみたいと思います。どうぞお楽しみに。