大人がああしろ、こうしろって指図する
だから学校でやるバスケは嫌なんだ、と言った少年
寄宿塾の生徒さんの中には、馬との縁が深くて来た子もいたようです。 印象的な寄宿生についてうかがいました。
大堀貴士さん
(シュート)
(シュート)
G1(ジーワン)というあだ名の中学生の子がいてんけど。G1とは、日本ダービーとかいった、競馬の一番ハイグレードのレースのこと。グレードワンとかG1レースという。そこからついたあだ名。
で、なんでG1というかというと、その子は学校が嫌で不登校になって、家でゲームばっかりしててんけど、そのゲームが「ダービースタリオン」という、競走馬をG1レースで優勝させるように育てるゲームやってん。 昼夜逆転生活で一日中ゲームばっかりやってるから、親が見るに見かねて、「お前、そんなに馬が好きやったら、いっそ本物の馬がいるところに行け」といってハーモニィに連れてこられたのよ。
うちに来たときはドラえもんののび太くんって感じの子で、馬だけが好きで勉強は大嫌いって子やってんけど、ゲームでしか馬を見たことなかったのが、本物の馬に触れられて喜んでさ、やっぱり一所懸命、馬の世話をするようになってん。
馬相手やから朝は早く起きないといかんやん、すると夜は自然に眠くなるやん、で、だんだん昼夜逆転だったのが、生活のリズムが整っていって、次第に元気になってきたんよ。
G1ははじめは、近所のコートで地元の中学生がバスケやってるのとか見ても、さっと逃げるような子だったんよ。それが、馬の面倒見るようになって活力が出てきたので、ある日、オレが地元の中学生の子に「一緒にバスケやらへん?」って誘ってんな。
で、不登校の子らと、地元中学生で試合してみるねんけど、向こうは部活もやってて鍛えてるから、強いんよ。だから負けるねんけど、それが悔しいのと同時に楽しかったみたいでさ。
で、ハーモニィの連中も、バスケマンガ読んだり練習したりして、何回もその子らに試合を挑むんよ。
そうこうしてる内に、最初はオタクで、暗いひ弱な感じやったG1が、めっちゃ元気でいきいきした感じになっていたんよ。馬とバスケはめっちゃ好きで、勉強だけは大嫌いって感じになった。
そこでオレは、G1に聞いてみてん。
「地元中学の奴らとめっちゃ楽しそうにバスケしてると、中学に行ってみたいって思うようにならへんもんなん?」って。
するとその瞬間に、G1の顔色が変わったんよ。それで、
「オレは学校でやるバスケは嫌いだ。だって部活でやるバスケは勝たないといけないから。大人からああしろこうしろってさしずされてやらないといけないバスケ、やらされるバスケだ。だからオレは、学校のバスケは嫌だ」
って言ったんよ。それ聞いて、あ〜、なるほどなあ、と思ったなあ。
で、なんでG1というかというと、その子は学校が嫌で不登校になって、家でゲームばっかりしててんけど、そのゲームが「ダービースタリオン」という、競走馬をG1レースで優勝させるように育てるゲームやってん。 昼夜逆転生活で一日中ゲームばっかりやってるから、親が見るに見かねて、「お前、そんなに馬が好きやったら、いっそ本物の馬がいるところに行け」といってハーモニィに連れてこられたのよ。
うちに来たときはドラえもんののび太くんって感じの子で、馬だけが好きで勉強は大嫌いって子やってんけど、ゲームでしか馬を見たことなかったのが、本物の馬に触れられて喜んでさ、やっぱり一所懸命、馬の世話をするようになってん。
馬相手やから朝は早く起きないといかんやん、すると夜は自然に眠くなるやん、で、だんだん昼夜逆転だったのが、生活のリズムが整っていって、次第に元気になってきたんよ。
G1ははじめは、近所のコートで地元の中学生がバスケやってるのとか見ても、さっと逃げるような子だったんよ。それが、馬の面倒見るようになって活力が出てきたので、ある日、オレが地元の中学生の子に「一緒にバスケやらへん?」って誘ってんな。
で、不登校の子らと、地元中学生で試合してみるねんけど、向こうは部活もやってて鍛えてるから、強いんよ。だから負けるねんけど、それが悔しいのと同時に楽しかったみたいでさ。
で、ハーモニィの連中も、バスケマンガ読んだり練習したりして、何回もその子らに試合を挑むんよ。
そうこうしてる内に、最初はオタクで、暗いひ弱な感じやったG1が、めっちゃ元気でいきいきした感じになっていたんよ。馬とバスケはめっちゃ好きで、勉強だけは大嫌いって感じになった。
そこでオレは、G1に聞いてみてん。
「地元中学の奴らとめっちゃ楽しそうにバスケしてると、中学に行ってみたいって思うようにならへんもんなん?」って。
するとその瞬間に、G1の顔色が変わったんよ。それで、
「オレは学校でやるバスケは嫌いだ。だって部活でやるバスケは勝たないといけないから。大人からああしろこうしろってさしずされてやらないといけないバスケ、やらされるバスケだ。だからオレは、学校のバスケは嫌だ」
って言ったんよ。それ聞いて、あ〜、なるほどなあ、と思ったなあ。
「学校のバスケは勝たないといけないバスケ」という言葉に、なんだか核心を突かれたようで、私までギクリとしました。
地元の中学生とやるバスケにも勝ち負けはあるはずで、だからこそ楽しいし興奮もするのであり、その興奮こそがスポーツの醍醐味なのしょうけれど、それは、「大人の指図で動いて勝たないといけない」という状態とは違っています。
勝ち負けがあるからこそ楽しいと思えるスポーツと、勝ちを強要されるが故に苦痛を感じるスポーツ。この差は、スポーツのみならず、勉強や芸術など、あらゆる分野に共通して潜んでいる問題ではないかと思います。
「勝たなきゃいけない」って、いったいなんなのでしょう〜?
好きだったことが辛くなるときも、裏側にこういう要因が隠れてることが多そうだなあ。
そして馬が大好きなG1、実はこの後に、驚くような道のりを歩いていくことになります。ゲームの世界に閉じこもり、学校も拒絶していた少年が、どのようにして外へ飛び出すことになっていったのか、とても気になりました。本企画で、別途G1に取材し、改めてお話を聞けたらなと思っています。G1は現在、30代の大人になっていて、北海道で馬と生きる道を歩いているそうです。
ところで、来た当初は寝てばかりという寄宿生たち、勉強が好きな子もいれば、G1のように嫌いな子もいると思いますが、嫌いな子は勉強をする気が育つものなのか気になり、うかがってみました。